絵画がキャンバスに描かれるようになって、今まで絵画を描いていた板絵から解放されたように一体になっていた枠が額縁へと進化を遂げていきました。このような板絵の初めとされているのがドイツのヴォルムス聖堂にある祭壇画の板絵、いわゆるヴォルムスの板絵で13世紀中頃の製作と言われています。両扉の祭壇画で扉のうちそとでその造りが異なるという特徴を有し、さらのその仕切りとなっている枠の違いは顕著であることで知られています。外側枠の微妙に盛り上がった部分には蔓草をイメージした紋様が帯状にみてとれます。この蔦草紋様は自然に対する神秘性を表すと言われ、一方扉の内側にある枠は金という鉱物がもつ一種魔力を象徴するものものと言われる文様で囲まれています。このように当時の板絵に施されていた枠には、意味合いこそ違うものの宗教的な感情を表しているというのが初期の板絵として貴重なものとなっています。